ダウンサイジングへの取り組み

ダウンサイジング

 ダイカストでは高速・高圧で金型に金属を鋳込む際に、金型を開こうとする力が働きます。
その開きを抑えるためには、より大きな鋳造機が必要となりますが、美濃工業では通常よりも小さいサイズの鋳造機で鋳造する、『ダウンサイジング』に取り組んでいます。
通常では80MPa程度をかけて鋳造する複雑な製品の場合2000t以上の大きさのダイカストマシンとなりますが、美濃工業は40MPaでも品質を確保した上で1100tクラスのダイカストマシンで鋳造を行っております。
 使用設備が小さくなる為製品単価のコストダウン、設備稼働の為の燃料使用量の削減によるカーボンニュートラルへの貢献といったメリットがあります。
その反面、通常よりも低速・低圧での鋳造を強いられるため、品質の確保が課題となりますが、
鋳造解析・各種評価設備を用いて設計・試作段階でPDCAを回すことで解決しています。

ダウンサイジングを実現する評価設備

働く様子

CTスキャナー

 レントゲンやMRI等医療でも使用されているX線を用い、本来ならば切断等の破壊をしないと評価できない製品内部を観察することができる装置です。
主に製品内部に含まれる巣の評価に用いられ、気密性の求められる部品などで内部品質を確認し、各種品質向上に取り組んでいます。

ガス量測定器

 ダイカストという製造法は、潤滑剤や水を使用するため、製品を形成する際にそれらも一緒に含まれてしまいます。外力により高速で金型内に高温の溶けた金属を鋳込む際に、蒸発し製品内部にガスが残留し鋳巣欠陥となります。
ガス量測定器ではそのようなダイカスト製品内に含まれたガスの量を測定することで、鋳造条件の最適化に活用しています。

SEM / EDX

 SEMは最大100万倍程度まで物の拡大像を得ることができる電子顕微鏡であり、肉眼では観測できない製品表面の凹凸や様相を観察できる装置です。欠陥の表面を観察することで、発生原因の絞り込みに活用できます。
EDXはSEM同様に電子線を用いることで、特製X線を検出することができ元素分析により物質を構成する原子を特定できる装置です。製品に含まれた異物の特定もでき、溶湯品質の向上などに活用しています。

マイクロスコープ

 対象物をカメラで拡大観察する為の器具であり、観察物と密着することなくスコープ部分を自由に動かせるので凹凸の大きい製品の隅など様々な製品に活用することができます。
研磨した製品を観察することで、金属組織を確認できます。組織の様相により内部品質を評価することができ、欠陥の発生要因の分析に活用しています。

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